一章

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 その講義では歴代の勇者様の名前や魔力属性、使っておられた武器防具、はたまた勇者様の性格やハーレムの人数と構成まで勉強するのである。  こんなの全く必要ないのに、なんでこんなことまでするのかというと、異世界から来た勇者様は十人十色で、責任感のある方から女の子のお尻ばっかり追い掛けている方、部屋に引きこもって出てこない方などなど、その時代時代で勇者様の扱いが非常に難しかったからだという。  簡単にいうと『どんなのが来るか分からないから、覚悟しとけよ』と言う警告である。  ――しかし、不幸なことはそれに留まらなかった。  そう、僕はかの『はーれむ』の一員に選ばれてしまったのだ。    勇者様がハーレムメンバーをわざわざ探しに旅するのは時間の無駄じゃないかと気付いた誰かが、過去から統計を取り、『きっと合うだろう』と思われる人間を勇者様が召喚された直後に召集できるようシステムを作ったのだ。  勇者様からしてもアリガタ迷惑なんじゃないかと思うんだけど、僕にとっても迷惑極まりないこと甚だしいシステムだ。    そのシステムに則って、国民たちの能力値は国に保管され、その情報の中から勇者様の魔力の質に合った者が選ばれる。     
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