一章

38/38
677人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
 ――本当に良かった。  なのに、何だか泣きそうな勇者様の顔がみえて、僕は手をのばした。実際には少し持ち上がっただけの手を勇者様が握ってくれる。こんな嬉しいこと、今までなかった。  僕は笑った。笑えたと思う。  目が霞んで、音も聞こえなくなって、ゆっくりと闇に包まれていく。    そんな中、ふ、と唇に何かが触れた気がした。  
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!