二章

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「私たちはもちろん報酬は断っているわ」 「ハヤトと旅して、魔王を倒すことが目標であり誇りなのよ」 「何よりの名誉だからな」  なるほどな。一生分の金、日本だと3億ぐらいか。ともなれば、当たりのキツイ俺の顔色ばっか窺って、必死に媚びて必死についてくんも頷ける。俺もあいつに求めるのは飯と雑用のみ。その代わり守ってやる。ギブ&テイクだ。  だが、なぜかイライラする。    魔王領に入る直前で立ち寄ったエルフの隠れ里。そこで最強装備がもらえるという。  寄り道もせず、カジノでパーッとストレス発散したいのを我慢し、ここまでシナリオ通りに来た俺を少しは褒めろ。  族長だというゴリマッチョエルフがいやに雑用係に語り掛ける。かと思えば、あいつのやたら女みたいに細い手を取って「私の妻にならないか」とほざきやがった。妻になろうが、何とも思わない。心底どうでもいい。  あいつがエルフの宝を手に入れる為に族長の部屋に籠ってから、一歩も出てこないまま朝を迎えた。  ベタベタと不必要に触りながらあいつを気遣う族長と、身を縮めながらもされるがままのあいつ。明らかな事後な様子に虫唾が走る。     
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