二章

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 ベルネの背中が床に叩きつけられる直前に腕を滑り込ませ、抱き留める。胸から腹にかけて、黒い靄を纏うクリスタルのようなものが深々とめり込んでいた。  ベルネがそれを受けたのは、俺の立っていた場所と玉座を結んだ直線上。  なんで?  なんでだ?  なんで、助けた?  焦点の合わない瞳で俺を捕らえ、ベルネの唇がわずかに動く。それは言葉を発する前に血を溢れさせた。 「こッの…バカヤロウが…っ…!」  金のためだったんだろ?!  報酬のために俺の機嫌取ってたんだろ?!  なんで俺なんかを…!    ピクリとわずかに持ち上がったその震える手を取り握ると、ベルネは――幸せそうに微笑んだ。  俺は、間違いを犯した。  こいつは。ベルネは…――。  目が、喉が、胸が灼ける。感情が溢れてきそうになる。その時、やっと自分の感情に気づいた。    ベルネの血で濡れる唇に口づける。何の抵抗もなかった。  死なせない。死んだとしても、生き返らせる。  持てるすべての力を使って。     
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