691人が本棚に入れています
本棚に追加
「金さえもらえれば良かったのか?」
そんな怨み言を朦朧としながらも必死に理解しようとした。ハヤト様は僕が必要だって言ってくれてるみたいだ。それはとっても捻くれた…愛の告白に聞こえた。責められてるのに、嬉しくて涙が零れた。
僕の隠し持っていたエルフの族長からもらった体力回復の秘薬を何度か飲まされつつ、空が白むまで犯された後、「コレなしで生きていけんのかよ」と怒ったように聞いてくるハヤト様。
全く以て素直じゃない。でもそれは言い方だけだってわかってるんだ。口が悪くても僕をずっと守ってくれてたから。
「ハヤト様のハヤト様がなくなっても、僕はハヤト様が大好きです」
僕は今度こそしっかり笑った。だって、嬉しくて嬉しくて頬の筋肉がキュって上がってしまうから。
ハヤト様はしばらく呆気にとられてから、顔を逸らして、
「バカヤロ…。もう、あんな犠牲になる様な事すんじゃねーよ。おまえが…おまえがいなきゃ意味ねぇんだからよ」
と言った。
その耳は――熱を持ったみたいに赤みを帯びていた。
最初のコメントを投稿しよう!