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後日譚
ぐにゃりと歪んだ視界を塞ぐように瞼を閉じると、僕を支えてくれているハヤト様の腕の暖かさが鮮明になる。ふわりと体が重さを無くしたように感じた後、ストンと何処かに落ちた。
ハヤト様が抱きしめてくれたおかげで、コケることもなく無事に地面を踏みしめる。
「着いたぞ」
ああ、着いたんだ。本当に来たんだ。ハヤト様の世界ーー僕にとっての異世界に。
僕はこわごわと瞼を開いた。
「…こ、ここが、ハヤト様の…」
部屋が四角いのは一緒だけれど、置いてある家具のデザインも雰囲気も全く違う。それに魔道具みたいなものもあるけれど、何に使うかサッパリわからない。
ものも少なくて、スッキリとした印象だ。
「大丈夫そうだな」
「へ?」
「体、おかしいとこないだろ?」
「は、はい。平気です」
「こいつらも…大丈夫だな」
ハヤト様は僕が両手に抱えるスヤスヤ眠る子供たちの頬をぷにと摘んだ。肝が座っているのか、二人共起きる気配はなく気持ち良さそうに寝息を立てている。
ハヤト様が僕の腕から子供たちを抱き上げ、ベッドの上に寝かせてくれる。ベッドの作りは同じだ。良かった。
「まずは、報告か…。なんて説明するか…」
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