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最終章
あったかい。
温かいものに包まれて、気持ちよくてホッとする。
心地よすぎて抜けられない。
でも、どうしてか起きないと、と思う。
ふわふわとしたなか、重い瞼をゆっくりと持ち上げた。
「……?」
ぼんやりとした視界。僕は瞬きを繰り返した。けれど、焦点がどうしても合わない。
それもそのはず、ほぼゼロ距離に壁があったのだ。これがあったかいと感じてたんだと妙に納得して、僕は身を捩りながらその壁との間に隙間を作った。
「……ん?」
この壁、何やら人肌の色をしている。しかも寝息のようなものも聞えて…。
これ、人!? 誰!?、と一気に頭が冴え、僕は慌てて体を起こした。
そこにはシーツ一枚だけを腰まで被った細マッチョな……ゆ、勇者様!?
予想だにしない出来事に、僕は口を手で押さえ、茫然とその姿を眺めた。心の中では「どうして?」とひたすら復唱しっぱなしだ。
僕は座ったまま後ずさりしようとして、下半身に違和感を感じた。アソコに何かが挟まっているような異物感を。しかも僕は裸だった。
まさか、そんなわけ…。
「ぅ…ん?」
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