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プルルルル、プルルルル、プルルルル、ガチャ
『はい、こちら建部警察署相談専用窓口です。』
警察では電話口で相談出来る窓口が設置されていることが多い。彼女はその事を拓也から聞いていたのだった。
「すみません、ストーカーの件について相談したいことがありまして。」
『分かりました。担当の課の者に代わります。』
(保留音が鳴る。懐かしい、実家と同じメロディだ。)
懐かしんでいると、直ぐに音が切れて声がした。
『お電話代わりました。生活安全課ストーカー対策室です。では、要件をお願いします。』
「実は最近、周りでおかしなことが起きてまして。」
『おかしな事とは具体的にどのようなものでしょうか?』
「誰かにつけられている気がしたり、飲んでいたコーヒーのストローが無くなっていたり。あとは手紙が2つ自宅の郵便受けに入ってました。」
『なるほど。より詳しくお伺いしたいので後日警察署までお願いできますでしょうか。』
「はい、分かりました。」
『その際に手紙を2枚共持ってきていただけると。』
「分かりました、ありがとうございます。」
(警察署に行くのか…。
人生初警察署、何も悪いことしてないのに…。
しかしこれ以上悪化させたくない。堪えよう!
証拠不十分で捜査できないって言われても諦めなければいいんだから!)
?時と場所は変わって警察署?
「申し訳ありませんが…」
「この証拠と証言だけではストーカーと断定するのは難しく、今すぐ対策を取らねばならないレベルでは無いとの判断に至りました。」
「そ、そうですか。」
(まぁ、分かっていたけどね。)
「申し訳ありません。今のご時世、やれ冤罪だ勇み足だという声が沢山あるものでして…。中々捜査に踏み切れないんです。」
「…分かりました、わざわざありがとうございました。」
「あ…いえいえ!また何かありましたら気兼ねなくご相談の方を…。」
「分かりました、その時は相談に来ます。」
(また起きたら言えばいいか。)
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