4 旅館の主

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――が、タケルも恩田も不思議そうな顔をするだけ。 オレは怖々もう一度、大木の辺りを見つめてみたが… 何もない。 誰もいない。 そうこうしているうちに、車はどんどん先へ進む。 オレの見間違いか――? 確かに、何か白い顔のようなものを見た気がしたのに…。 「情けない奴だ。怖い怖いと思ってるから幻を見るんだ」 ムッ! 相変わらず人を小バカにしたように毒を吐く高支那。 「気にするな」 そう言ってくれたのはタケル。 つまり、高支那の言ったことなど気にするな――と援護してくれたわけだ。 やっぱりタケルって優しいィー。 そして―― 暗い森を抜け、オレ達がやって来たのは… 古びた温泉旅館。 建物は料亭風で趣はあるが、鬱蒼とした木々に覆われ、なんとも古めかしい。 まるで妖怪の巣窟って感じ? それから駐車場らしき広い場所に車は停まり、オレ達はこの地に降り立った。 さあ! これから何が起こるのか? わくわくする期待感と、どことなく嫌な予感がする不安感を胸に抱きつつ、オレは大きく一つ、深呼吸をするのだった。
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