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……重い…。
車内の空気がメッチャ重い…。
これが楽しいはずの温泉旅行に向かう雰囲気か…?
まあ、タダで行けるんだから文句は言えねーけど…。
あー、タケルと2人だけの旅行なら最高なのに…。
――と、オレが一人もやもやしている時、隣の恩田が早々ととんでもないことを言い出す。
「旅館の部屋は確か2部屋取ってあるんですよね。鬼頭くん、僕と一緒の部屋でいいですよね?」
はぁ?って感じだよ。
なに勝手なこと言ってんだよ!
恩田は助手席に座るタケルの耳元に息を吹きかけるように更にしゃべる。
「鬼頭くん、返事は?」
返答に困っているタケルに、妖しい微笑みを投げかける恩田。
高支那は聞いているのか、聞こえないフリをしているのか、まったく無関心な感じだ。
オレは我慢がならず、恩田に突っ掛かる。
「おい、恩田。なんであんたがタケルと同じ部屋なんだよ。普通こういう場合、子供は子供、大人は大人で部屋割りするもんじゃね?」
その時、無関心だったはずの高支那が、フッと鼻で笑った。
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