4 旅館の主

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さっそく旅館の玄関口へと向かうオレたち。 ――が、やはり違和感は尽きない。 なぜなら、なんだかこの辺り一帯、人の気配がまったくしないからだ。 つまり、他の客が誰もいない。 車も、オレたちが乗ってきたのが一台あるだけ。 まるで、深い森の中に、オレたちだけが捕われた…そんな感じ? まあ、怖がりのオレだからそう感じたのかもしれねぇけど。 「克巳、何してんだ?行くぞ」 タケルの声に促され、立ち止まっていたオレは慌てて駆け出す。 それから威厳のある門を抜け、格子戸の玄関を開けると―― 「いらっしゃいませ」 すぐに涼やかな男の声が降ってきた。 そこに待っていたのは、紺色の落ち着いた着物を着こなした――これまた美形。 う~ん。 歳は…恩田と同じぐらい? いやに白い顔をした奴だ。 ――あっ! 白い顔といえば、さっき森の中で見たあの幽霊らしき影…! まさか――!? オレはマジマジと目の前の男を確認した。 「私はここの主、三影千早(ミカゲチハヤ)と申します」 男は清楚に告げる。 ただ…気になったのは、奴がタケルを執拗に見つめていたこと…。
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