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――オレは今、恩田と「妖の間」にいる。
もちろん、すぐにタケルの部屋に向かうつもりだ。
ところが、オレはこの後、恩田の言葉に驚かされることになる。
「赤木くん」
いつもは穏和な笑み(オレから見たら危険な笑み)を見せる恩田が、なぜか真面目な顔をしている。
なんだ?と思っていたら…
「あの三影千早には気をつけた方がいいですね」
「えっ!?」
オレはびっくりした。
恩田の口からそんな言葉が出ようとは思ってもみなかったからだ。
「どういう事だよ?」
「彼…、鬼頭くんを執拗に目で追っていました」
「!!!」
恩田はオレが感じたこととまったく同じ事を言う。
何も気付いてないかと思ってたけど、ちゃんと見てるとこは見てんだな。
恩田――恐るべし!
それは当然、恩田自身もタケルをずっと目で追ってたってことになるけどな…。
お互いタケルを想う者同士。
そこは手抜かりないって感じか?
「とにかく、鬼頭くんから目を離さないようにしましょう」
「おぅ!」
恩田の言葉に、オレは力強く頷いたのだった。
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