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「あ・か・ぎ・くん」
教室の机にだらしなく伸びていたオレの背後から、不意に一人の女子が声をかけてきた。
オレはかったるく振り返る。
目の前に立つのは、早坂真奈。
同じクラスの生徒だ。
学校一と評判のアイドル顔美少女。
街で何回もスカウトされてるらしい。
けど…
オレは早坂の顔を見つめながら思うんだ。
タケルの方がいいよなぁ…って。
――って、オレってばこれじゃあホントに危ないヤツじゃん。
「なに?なんか用?」
オレは無愛想に返事する。
なんかさ、中学時代のオレは仲間命で、女子と話するってあんまりなかったんだよな。
だからなんていうか、どう話していいのかイマイチわかんねぇっていうか…。
でも早坂は男慣れしてるって感じで、オレみたいなヤツにも平気で近寄ってくる。
遠巻きに見ているクラスの連中とはえらい違うよな。
「あのさ…赤木くんにおいしい話を持って来たんだけどなぁ」
こういうのを男心をくすぐるっていうのか、早坂は可愛いく首を傾げ、甘えた声を出す。
まっ、オレには通用しねぇけどな。
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