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なにはともあれ、こうして料理が出来てるっつーことは、料理人も、それを運ぶ仲居さんもちゃんといるわけだよな。
なんかちょっと安心。
安心したら、さらにお腹がグーグー催促を始めた。
「さっ、食うぞぉー!!!」
そして宣言通り、高支那の分もオレが食ってやった。
恩田に、
「そんなに食べて夜は大丈夫なんですか?夜の方が豪華ですよ」
と笑いながら言われたが、
「昼は昼。夜は夜。心配しなくてもちゃんと食えるって」
オレは恩田にピースサインをする。
――その時、部屋の戸が静かに開いた。
入って来たのは高支那だ。
昼はいらないって言ったのは高支那だし、今更顔を覗かせても遅いっての。
「高支那の分、食っちまったぞ」
オレは一応断りを入れたけど、高支那はそれを無視。
クソッ。
そんな事よりって感じで話を始める。
「この旅館には、俺たちが泊まっている部屋とは別棟に、もう一部屋あるようだ」
なんだ。高支那のヤツ、今まで館内の偵察に行ってたのか?
「どうやらここは一日三組限定の宿らしい」
へえぇ。
ひょっとして高級旅館ってやつ?
「それで今日のお客は僕たちだけってわけですか」
恩田が納得したように答える。
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