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そんな賑やかに準備をし、翌日は延々とクッキー、パウンドケーキ、カップケーキを焼き続けたら。
もう、文化祭当日である。
そして、現在の私は囲まれ追い込まれ、逃げられずにこの格好に着せ替えられた……。
「なぜ、何故これを着なければならない……」
その疲れを伴う私の呟きに部員一同が、サクッと返してきた。
「そりゃ、これはメグのために作った手芸クラブの客寄せ衣装!」
そして作った先輩が言う。
「終わった暁にはそのまま進呈するから心ゆくまで着るがいい!」
「こんなん!着るのは本日限りだわ!」
叫んでガックリ肩を落とした私の現在は、甘ロリのフリフリロリータ。
ヘッドドレスに日傘に厚底シューズで完璧にロリータちゃんだ。
ここまで揃えちゃうのがうちのクラブと言うか、なんと言うか。
「先輩、似合ってる!私はゴスロリしか似合わないから心底羨ましい」
そう呟くのは身長170ある、後輩の茉奈佳。
かわいい名前だが見た目は私と180度逆の、ロリータならゴスロリが似合う容姿。
しかし、中身は可愛いものを愛してやまない可愛らしい女子である。
私は可愛いのも好きだけど、カッコイイ系も好きで革小物だって作るし、パンクな格好も好き。
だが似合わないのだった……。
お互い無い物ねだりなのだ。
仕方ないここは、腹を括ってやろう。
気合を入れて私はカゴに入れたお菓子を持ちつつ校内を手芸クラブアピールして回ることになるのだった。
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