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そうして小一時間、校内を歩き回りアピールしてカゴのお菓子も無くなったので家庭科室へと戻る。
すると家庭科室前に男子の集団が居る。
「コウ君!」
「菜々美、来たよ」
あぁ、来てましたか……。
思わず足を引いて回れ右して逃げようとしたら、一歩遅かった。
「メグ?逃げるな?」
「いや、少々お花摘みにでも……」
「あ、と、で!」
「うぅぅぅぅ……」
こうして、呆気なく私は連行された。
「おぉ!!ナナの写メでも可愛かったけど、今日は一段と可愛い格好だね!」
「でしょ!先輩の力作なのよ!メグに良く似合うでしょ!」
カップルの会話としてどーなんだ?と思いつつ、私は話す二人を眺めつつ男子の集団にも目線を向けた。
「うっわ!めちゃ可愛い!」
「ほら、奏!話しかけてこいよ!」
「憧れのメグちゃんが目の前に居るぞ!」
集団の中でやいのやいのされてる男の子は、私をガン見で固まっていた。
あぁ、さすがにこの服じゃ引かれたか。
さもありなん、と私はニコッと笑うとそのままその脇をスルーして家庭科室へと入った。
「メグ!?」
ナナの叫びもスルーした。
「先輩、お菓子捌けたよ!こっちどうです?」
入るなり、普段のトーンの私にみんなが寄ってきつつ囲まれる。
「こら、メグ!折角来てくれたのに!スルーってどうした!」
「いや、この格好がダメだったんでしょ?でも今日このままだしと思って」
サラっと返事して、私は再びカゴにお菓子を入れるとお釣り銭だけ残して、売上を会計箱に入れるとまた家庭科室から出ようとした。
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