仮面男子、夏生くん

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(や、やった……。俺みたいなのでも、好きな子を守れた!)  彼女達の後ろ姿を息を切らしながら感激しつつ見ていると、「夏生、くん?」と、背後から俺の名前を呼ぶ声がする。 「えっ、何で疑問形? ……ってあれ、か、仮面はっ!? 嘘っ! ないっ!」 (ちょっと待って! ということは俺、今初めて平井さんに顔を……!?)  先程咄嗟に自分で仮面を投げ捨てたことも忘れて、俺は自分の顔を触っては赤くなったり青ざめたりと忙しない。 「ふっ、あはははは! やっぱり! 夏生くんだ!」  そのあたふたっぷりが普段二人で一緒に帰ってるときの、会話が途切れたときに話題を探す俺の姿とでも重なったのか、平井さんはそう言っておかしそうに無邪気に笑う。そんな笑顔に、俺はただただ頬が熱くなるばかり。  やがて笑いが落ち着いた平井さんがこちらを向く。ちゃんと目と目を合わせて。
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