仮面男子、夏生くん

14/17
前へ
/17ページ
次へ
「助けてくれてありがとう。夏生くん、仮面の下はそういう顔だったんだね。やっと見せてくれた」 「あ、う、俺の顔なんて女の子みたいでしょ? 俺、この顔のせいで昔いじめられたことあるから」 「ああ、それで仮面。確かにその綺麗な顔は隠せるけど、仮面(それ)のせいでかえって目立っちゃうね」 「うっ。で、でも顔が隠せればいいんだよ、俺は」  そんな、まるでいつもの帰り道みたいなやり取りに、俺は恥ずかしさから声が上擦り、平井さんはまた笑いが込み上げてきたのか、手で口元を隠しながら小さく笑う。 「そんなに大切な仮面なのに、取ったまま助けに来てくれたんだ」 「仮面取ったのは無意識だったけど……多分、自分の大切な人に顔も見せないまま伝えたくなかったからだと、思う」 「え?」 「平井さん、俺、……俺、平井さんが、すきです」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加