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「助けてくれてありがとう。夏生くん、仮面の下はそういう顔だったんだね。やっと見せてくれた」
「あ、う、俺の顔なんて女の子みたいでしょ? 俺、この顔のせいで昔いじめられたことあるから」
「ああ、それで仮面。確かにその綺麗な顔は隠せるけど、仮面のせいでかえって目立っちゃうね」
「うっ。で、でも顔が隠せればいいんだよ、俺は」
そんな、まるでいつもの帰り道みたいなやり取りに、俺は恥ずかしさから声が上擦り、平井さんはまた笑いが込み上げてきたのか、手で口元を隠しながら小さく笑う。
「そんなに大切な仮面なのに、取ったまま助けに来てくれたんだ」
「仮面取ったのは無意識だったけど……多分、自分の大切な人に顔も見せないまま伝えたくなかったからだと、思う」
「え?」
「平井さん、俺、……俺、平井さんが、すきです」
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