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突然の俺の想いに驚いたのか、平井さんは目を伏せて唇をきゅっと結ぶ。それを不安げに見つめることしか出来ない俺。
「私、最近変なんだ」
「変?」
「顔も知らない人のことが、気になるの」
「……!」
「顔も知らないのに、その人の、誰かを笑わせようとする話し方だとか、自分の話で笑ってくれたら一人こっそりほっとしてるところとか、二人になったときに急に静かになったり、いつも自分から話しかけるタイプなのに私が話すときには聞き役になってくれるところとか、二人のときはいつもよりちょっと落ち着いた声で話すところとか、顔は見えないのに優しく笑ってくれてるんだろうな、って分かるときとか、何かいろいろ、一人でいるとき思い浮かべちゃってて」
「……っ」
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