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これが彼の蟲力、“リサイクル”
リサイクルの能力は少しでもその破片があれば、辺りに散らばっている破片を自動で集め復元させることができる。更にその形を変化させて別の物体に変えることもできる。
少年は先程砕かれた瓶の破片の一部を持っており、その破片を復元させる過程で、砕かれた瓶の破片がそれぞれある程度の大きさに復元され男の背中を刺したのだ。
「とりあえず制圧成功……かな」
シンジは復元された瓶をガラス製の剣に変ると男の右腕を切り落としそう言った。
男は腕を切り落とされた痛みにより聞いた事もないような声を荒げるとそのショックで倒れる。
「殺しはしない、君も命があるから」
少年は倒れている男を通り過ぎると少女の元へ向かう。
「君!大丈夫!?」
少年は少女にそう声をかけ、呼吸をしている事を確認し少女の手を握ると少女の傷はみるみるうちに塞がっていく。
これが彼の本当の蟲力、いや本来はこの使い方が正しいと言った方が良いのかもしれない。
(これで良し──っと、あとは眼を覚ますまで待つとしよう)
「──ッ!?」
シンジはふと先程倒した男の方を向くと彼は腰に納めていた日本刀を構え飛びかかってきていた。
(くっ──!)
あまりに咄嗟の出来事にシンジが尻餅をついたその時だった、路地の方から少年と同い年くらい背丈をした青髪をむしろに結んだ少年が全速力で走って来ると持っていた木刀で男に突き男壁へと吹っ飛ばす。
「……大丈夫か?シンジ」
乱入してきた彼は無愛想にそう言うとシンジに手を貸す。
「うん、ありがとう!助かったよタクマ」
シンジは手を借り立ち上がると、壁に叩きつけられた男は立ち上がりこちらを睨んできた。
「お前は下がってろ……俺が殺る」
シンジを背に置き、少年は深呼吸をするとどこからか桜吹雪が起こり、握っていた木刀は日本刀へと変化する。
「チッ!アイツが相手じゃ部が悪い!」
男はタクマの武器を見てそう呟き、高く飛躍すると背後にあった建物の屋上に着地し走って逃げだした。
「あいつ……まさかな」
彼に敵意がないと感じタクマはボソッとそう呟く。
「どうしたの?」
「何でもない」
「それにしてもタクマが助けに来るなんてあの日みたいだね」
助けに来たタクマを見てシンジは懐かしそうにそう言った。
「あぁ、そうだな」
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