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トラックの荷台に乗せられ20分くらい経った頃、シンジを乗せたトラックは大きく揺れ、横転する。
「な、何だお前は!」
外から護衛人の声がすると、横転した衝撃の所為か荷台のドアが崩れ落ちた。
外を覗くと目の前にはシンジと同じくらいの背丈をした青髪で短髪の木刀を持った少年が護衛人に囲まれて立っていた。
「俺は誰……か──俺は正義の味方だ」
そう言い少年は持っていた木刀を構えると目を閉じる。
「相手はガキ1人だ!いくぞ!」
護衛人の1人が合図を出すと囲んでいた者は一斉に少年に飛びかかる。
「咲き乱れろ紅桜!」
そう少年が言った次の瞬間、木刀は日本刀へと変わり、飛びかかった護衛人達は絵に描いたように吹っ飛ばされ、一瞬──見えるはずのない桜が舞ったように見えた。
「綺麗……」
思わずそう漏れた言葉を聞き少年はニヤリと笑う。
「それは良かった、だが今のはアイツらの血だ……決して"綺麗な者"でもない」
そう言われ辺りを見ると護衛人たちの腹に切り傷があり、大量に出血していた。
その傷は彼が一瞬にして回転斬りをしたと言うことを物語っている。
「安心しろ峰打ちだ、殺してはいない」
不安そうに見ていたシンジにそう声をかける。
「どうしてボクを助けたんです?」
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