分かった所で、僕には

6/8
前へ
/8ページ
次へ
遠退く背中が煌めく。 夜空を駆ける星のような光は、僕の瞳を奪って返してくれない。 『長谷川君』 『無理しちゃ駄目だよ』 『月曜日に』 『待ってるから』 彼女の口にした言葉がリフレインする。 響きを忘れないようにと、しつこく体を駆け巡る。 ああ、やっぱり。 掴んだ紺色のシャツに、五本の皺が刻まれる。 先生、これは風邪のせいじゃない。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加