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あれは、もう10年も前の事です。
高校三年生だった私は、毎日の様に神社にお参りに来ていました。丁度その時期は、高校生最後の受験シーズン真っ盛りでした。
私「お願いします。大学に受かりますように。」
私はいつも朝、学校に行く前に通る神社に必ず手を合わせていました。すると、
友達A子「ねぇ。ここの神社ってさ、毎日通るけど誰もいないよね。なんか不気味だよ。」
私「そうかな。」
友達A子「そうだよ。しかも17年くらい前、ここで赤ちゃんを捨てた人までいるじゃない。ほんと、人間として考えられない。」
私「ねえ。死んだ世界ってどんな感じかな?」
友達A子「さあ。死んだ事無いからわからない。」
私「私はさ、ここで捨てられた。あの17年前の冬に。それから私は熊に拾われた。それも食べられずに5年の年月が経ったんだ。だから私は人間じゃない。人間に化けた熊だよ。」
友達A子「冗談言わないでよ。」
私「わざわざ冗談言わないよ。人間だって食べる。熊に育てられた5年間私は、人の肉も食べてきた。だから美味しい肉は見てわかる。」
友達A子「何言ってるかわか...」
「グチィ.....ゴルッ......」
私「美味しい。やっぱり人間の肉は美味しいね。」
友達A子「痛い.....泣。ねえお願い!助けて!誰か!」
私「誰もいない事くらい分かるでしょ?もう。私今日から人間辞める。A子の肉は美味しいし、他の人間の肉も食べたい。古くから人間の肉を食べる種族もいるし、私、森に帰るよ。今日から人間を脱皮する」
友達A子「..........」
私「あの日捨ててしまったもの。それは野生的本能だった。今日から本能に従うよ。ごめんねA子、ごちそうさま。」
森で逃亡、否、野生生活をして、それから4ヶ月後、私は警察に捕まり、裁判にかけられ、死刑の判決が出た。
裁判官「最後に皆に言い残す事はないかね。」
私「人間とは理性があるが最終的には己の感情論が決定する。つまり....本能には勝てない。」
裁判官「何がいいたいんだね?」
私「私が捨てたのは人間です。」
ここでお気付きになった人は居ると思います。最初、10年前のお話と申しました。その通りです。
詰まるところ、犯人は私ではない。偽装完全犯罪に終わったということになります。
答えがわかった方がいたら、教えて下さい。
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