Act.01 武器商人は異世界に呼ばれたようです

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 悪態をつきながらも預けておいた荷物を受け取ってから入管へと進む。  俺の名前は栖原(すはら)アキラ。高校卒業と同時にとある商社へと就職した俺は就職と同時にトルコの工場勤務となった。少年時代を海外で暮らしていた経験もあったし、社長とも昔から面識があったので簡単に引き受けたんだが思った以上にめんどくさかった。  そのため、この長期休暇でゆっくり羽を伸ばそうと思っていたのだが、それもさっきの電話で全ておじゃん。しかも今度はトルコよりも危険なところへ出張だ。いくら俺の仕事が危ない仕事だからといって危ないところへ好んでいきたいとは思わない。  つつがなく入国を済ませ、税関から荷物を受け取ると空港のターミナルへといそいそと移動する。長らく海外にいたので日本の空気は懐かしい。これまで読めない言語に囲まれていたため日本語の看板やアナウンスは新鮮だ。  英語ならある程度は読めたり話したりできるのだが、トルコの公用語は全然できない。英語や日本語のように昔から使ってたわけじゃないから一から覚えるのも一苦労だ。普通のものよりも重くて頑丈なキャリーケースをコロコロと運ぶ。     
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