Act.01 武器商人は異世界に呼ばれたようです

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 日本の空港はトルコの空港よりも道や設備が整っていて良い。もちろん、トルコの空港が整っていないわけではない。空港……特に国際空港と名の着く施設はどんな国であっても整っており近代的だ。しかし、日本の空港はその中でも群を抜いている。  そこここにいるピクトさんたちが日本語や英語を読めない人のために案内役を買って出ており、誰にでも直感的に進むべき道を理解することができる。  ああ、これこそが近代的いや、現代的だ。  そうやって日本の素晴らしさを満喫していたところ、俺に近寄ってくる人影があった。 「Excuse me」  すみませんという意味の英語。俺は相手に気付かれないようにため息を吐いてから顔を向けた。そこには見事なガイジンさんがいた。流れるような金紗の髪、スカイブルーのような青い瞳。すっきりとした顔立ちに透き通るような白い肌。  少し流暢(りゅうちょう)な英語で話しかける若い女性。彼女は人懐っこい笑みを浮かべて()びるかのように言葉を紡いだ。 「わたし、にほんご、あまり、わかりませ~ん。みちをおしえて、もらえませんか?」  カタコトの日本語。片手には旅行用のキャリーケースを持ち、もう一方の手でガイドブックのようなものを広げている。あきらかに旅行者といったスタイルだ。たぶん、街にいる10人の人に彼女は旅行者かと聞けば全員が旅行者だと答えるであろうほどの百点満点な旅行者スタイル。     
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