Act.01 武器商人は異世界に呼ばれたようです

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Act.01 武器商人は異世界に呼ばれたようです

 東京――羽田空港。  国内外から多くの旅客機を迎え入れる空港に俺は降り立った。いつもどおりの髪型(少しボサッとした黒髪)に我ながらあまり似合わない黒色のスーツに赤色のネクタイ。  周りの人から見ればいかにも就活生のような恰好だが、これは俺にとってのビジネススタイルだ。この恰好と相まって見た目は10代とよくよく舐められることも多いのだが、これでも21歳だ。  ドバイから始まった長時間の旅だったが、旅客機よりも酷い空の旅を経験したことのある俺にはささいな問題であった。愛用のイリジウム携帯を取り出すと社長から不在着信が入っていた。着信時刻は数分前。明らかに俺が日本に降りたタイミングを見計らったのだろう。 「――だから、出る前にも言ったけど、トルコ工場は軌道に乗ったからもういいだろ……えっ今度はイエメン? ちょっと待てよ! 今、日本に戻ったばかりだぞ! ……ちぃ、そうか……わかったよ」 「くそ、人使いの荒い社長め」  社長からの電話は次の仕事(・・・・)の話だった。約2年もの間、トルコの僻地でほぼ不休で働いていたため長期休暇をもらったのだが、今の電話でその半分が消えてしまった。     
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