指導者の姿

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指導者の姿

 グレイはレイアスに謝罪と感謝の意を述べる.レイアスはグレイやアッシュと戦闘をすることになったが,後悔はしていないし恨んでもいないと答える.もしもまた刃を向けることになったら戦うことになるかもしれないが,グレイとは争いたくないと告げる.グレイはレイアスから国に帰るのかと問われると,既に教団を抜け出してしまったためにラ=リズ魔導教国へ帰国することはできないとのことで,どのように生活していくか目途は立っていないと回答する.  ギルドに戻りガナンにクエスト達成報告と事情説明をすると,冒険者は脛に傷を持つ者もいるが,グレイ自身が犯罪を行ったわけではないため受け入れを断る理由はなく,むしろこのまま冒険者としてやっていくのも歓迎すると答えてくれる.それに対して,グレイはレイアスから習ったことで,冒険者としての実務を送るよりも自身の知識や経験を教えていく仕事に就きたいとの考えを述べる.実はレイアスから指導を受けたことの大部分は既に知っていたほど冒険者に要求される知識は有していたのだ.ガナンは現在冒険者ギルドの中でクランを設立する動きがあり,丁度その人材が不足していると伝え,グレイはそのクランの窓口業務を担うことになる.クランではクラン間のランキング評価やクラン専用クエストの斡旋,クラン内でのメンバー間のチャット管理,新人教育など種々の仕事を行い,ガナンやレイアス,クランメンバーから高く評価されるようになる.  ある日レイアスがイリスと共にクエストに向かうと,グレイが新人冒険者に同行しているのを目撃する.レイアスはグレイの的確な指導に感心し,そして自身がガナンから荒くも必要なことは押さえていた指導を受けていた日々を思い出す.一方でイリスからすると,グレイの姿が,グレイに指導するレイアスの姿と重なって見えた.
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