グレイの胸中

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グレイの胸中

 後日草原で対面するレイアスとグレイ.グレイは先日の礼を述べつつ,突然レイアスに決闘を申し入れる.困惑するレイアスであったが襲い掛かってくるグレイに対応せざるをえなくなる.グレイは前回と異なり一刀流で,新人とは思えない程高い戦闘能力を発揮し激戦へと発展するが,地力の差もあり最終的にレイアスの勝利で終わる.そこでグレイの独白が始まる.  グレイは幼い頃からラ=リズ魔導教国の魔導研究所で育てられる.過去の成功例を基に様々な実験をされたが,意図された程の成果を挙げることができず失敗作とされてしまう.とはいえ人間を逸脱するような驚異的な能力を持たずとも,平均と比較すると優れた力を持っていたため教団の駒として扱われ数々の結果を出していく.ある日,教団の暗殺者アッシュが冒険者に敗れたとの報が入る.アッシュは研究所の数少ない成功例であり,さらに仲間意識の強い彼を見ていたため,グレイは尊敬していた.その彼の負けたことが信じられず,事実を暴こうと教団から抜け出し,名前を捨て新たにグレイと名乗るようになった.そしてアッシュの特徴の一つである双剣を携えイスラーダ帝国へと足を運ぶ.アッシュに勝ったレイアスに出会うにはまず同じ冒険者となるのが最適だと考え冒険者登録をしたところ,偶然クエストにレイアスが同行することになった.クエストを行う過程での指導の様子やヴァルザンデスとの死闘を眺めていると,レイアスもまた尊敬に値する人間だと認識するようになる.しかしながらアッシュが職務の上で戦わざるをえず,それに対し反撃することは仕方ないことだと理解しようとしてはいたが,依然として納得できない部分があった.ところが自身の得意とする一刀流でレイアスと決闘をしたことで実際の実力差を把握することができ,加えてグレイに大怪我をさせないよう心掛けている優しさに気づいていたため,自分には到底敵わない相手であり,アッシュが負けたのも有り得るのだと思えるようになったとのことである.
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