第1章 騎士になれずに兵士になる

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第1章 騎士になれずに兵士になる

「ねぇ?! お母さん、あの綺麗な子は誰?」 「リック。あの方は王女アナスタシア様だよ」  もう九年前になるのか。    田舎の村から王都に遊びにきていた俺と両親はパレードを見ていた。  俺はその中の一人の綺麗な金髪の女の子に目を奪われ母親に彼女のことを訪ねた。  馬車に乗り笑顔を振りまく彼女はこの国の王女様だった。  その時の王女様は綺麗なドレスを着ているためか、もしくは生来の気品のせいか、同じ七歳だというのに俺よりだいぶ大人に見えたっけ……  王女様が乗った馬車の少し後ろを白い鎧をまとい白馬にまたがった金髪のかっこいい男の人がついていた。  周囲を見渡して観衆には基本笑顔であったが時折するどい視線を送っていた。  彼は王女と目が合った時には優しく微笑む。  パレードにいる兵士の中で、ひときわ目立つ白く美しい鎧を着た彼は勇ましくそしてかっこよかったな。 「お母さん、王女様の後ろにいる、白い鎧の人は?」 「あれはこの国の騎士様だよ。王女様を守ったり悪い魔物を退治するすごい人だよ」 「へぇ!? 騎士様かぁ! かっこいいなぁ」  王女様を見守り優しい笑顔を国民に振りまく騎士はすごく輝いてみえ。  俺は自分も騎士になりたい強く思った。 「お母さん、僕、騎士になりたい! なれるかな?」 「えっ? それは……」  俺の母親はそれ以上答えることはなかった。    なぜならその頃から我がグラント王国は荒れ始めていたのだ。  魔王の人間への宣戦布告や、勇者の死、増長した冒険者ギルドの身勝手な行動、そして勇者適性のある子どもの強制徴収と…… 王国は治安、政治ともに乱れていた。  俺は幼い心に国が荒れて王女の苦悩を想い騎士になって王女様を助けたい思うようになった。  十五歳の時に意を決して両親には話したが、王国がこんな状態では騎士なんかさせられないと猛反対された。  何度も説得したが結局、最後まで理解はされなかった。  十六歳になった俺は両親の反対を押し切って、王都グラディアで開催された騎士団の入団試験を受けたのだった。  そして今から入団試験の合格発表を迎える。
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