彼女の死

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「で!女の子がぴんち!って時に、ばばーんっと死んだ筈のバディが現れるんですよ!もう私本握りしめてきゃー!ってなっちゃって!」 さっき確か彼女を物静か、と言ったが、この彼女を見るに、その言葉は訂正をしなければならない。 俺が彼女を物静かだと認識していた期間は出会って間も無く、そしてとても短い間だったのだから。 彼女は打ち解けてみると年相応のきらきらとした輝きを持った、かしましい子だった。 特に、それは俺に本の感想を語るときだけ普段の二割増し、いや、三割増しほどきゃあきゃあと言う可愛い生き物になるように思われた。 それは俺がホラー小説の感想を語って聞かせるときも同様だった。 「きゃああっ!話聞くだけでも怖いのに読むのなんか無理ですよ!おしっこちびっちゃいます!」 お互い感想を言い合うのを口実に、恋に落ちるのにそんなに時間はかからなかったと思う。 でも、お互い、お互いのことを好きとは言わなかった。 俺は彼女のことが好きだったし、彼女もきっと俺のことを好きでいてくれたと思う。 だけど俺に勇気がなかったのだ。好き、と相手に伝えて受け入れてもらう勇気が無かった。そして、受け入れてもらえなかった時のことを思うと、よけい軽はずみに口に出来なかった。 俺はそれくらい彼女のことが好きだった。     
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