はらぺこLOVERS

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はらぺこLOVERS

 そう、きっと大丈夫。何度も何度も練習したんだから。  さりげなく、なにげなく、わざとらしさを感じさせずに自然に、自然に。 「しょうがないなぁ。じゃあ、あたしが作ってあげるか」  よし、完璧に言えたぞ。グッジョブあたし。 「マジ!? やったー!」 「約束したしね、一応」  はしゃぐ省吾を横目で見ながら、やれやれ、といった感じでため息をついてみる。うん、我ながらナチュラルな演技。シミュレーション通りだ。さぁ、決戦は金曜日。忙しくなるぞ。  毎年九月に、あたしと省吾が通う高校では、クラス対抗の球技大会が開催される。その際に、交際中のカップルはもちろん、片思い中の女子が、気になる男子に手造りのお弁当で告白をする、と言うのが例年の恒例行事になっていると知ったのは、入学してはじめての球技大会だった昨年の話。いったいどれだけの女子が、このお祭り騒ぎに参加するのか半信半疑で、結局あたしは傍観者で終わってしまったけれど、甘い物が苦手な男子でもお弁当なら大歓迎とばかりに、むしろ二月のバレンタインデーよりも校内は盛り上がっていたっけ。 「ああー、ちくしょー。結局俺、母ちゃんの弁当だったよー」     
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