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この世に神様は存在しないのだろうか?
「はっ!? 断水?」
とんでもないニュースが、あたしを叩きのめした。
「そうなのよぉ。マンションの給水タンクに亀裂が見つかったとか何とかで、緊急工事だって。明日の朝まで」
「え、だってあたし、明日の朝お弁当作るって言ったよね?」
「だってしょうがないじゃない。コンビニのパンでも買って行きなさいよ」
我が母は良くいえば大らか、悪く言えば鈍感な人物で、娘が連日料理の練習に時間を割いていた事に、「食いしん坊が料理にも目覚めた」くらいにしか考えていなかったようだった。
突然の自宅の断水の知らせに、あたしは急きょ食材を抱えて、おばあちゃんの家に避難する事にした。おばあちゃんの家は、学校から二時間近く離れた駅にあるので、予定より相当早く起きてお弁当を作らなきゃならない。それでも
「マジ!? やったー!」
そう言ってはしゃいでいた省吾の顔を思い出せば、早起きなんて全く苦にならなかった。
「おばあちゃん! 台所、借りるからね!」
「あれあれ、サキちゃん。えらく早起きさんだねぇ」
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