池袋でステゴザウルスの背中から生えた勇者移動販売に出会う

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販売員の女はニコニコと笑っている。いかにも気の良さそうな笑顔だ。きっと快く説明をしてくれるだろう。『勇者移動販売中』というプレートを首から下げているぐらいだ。勇者を売ってくれるのかもしれない。 俺はそう信じて、販売員の女になおも話しかけた。 「なあ、教えてくれよ?このステゴザウルスの背中から生えている勇者っぽい生き物は何なんだ?生きてるのか?どういう仕組みなんだ?」 販売員はニコニコしているが、俺の質問には答えようとしない。なんだ、この女は?ナメてんのか? 「てめえこの野郎!俺の質問に答えろ!くそが!」 俺は思わず怒鳴ってしまった。怒りをおさえようと日々努力しているはずなのだが、どうしても怒鳴らずにはいられなかったんだ。ああ、なんということだ。 池袋の地下街がビリビリと揺れる。ただでさえ、壁も床のタイルもほとんど剥がれており、ヒビだらけなのに。地下街が潰れてしまいそうだ。
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