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タマの手はごつごつしていて、私よりも大きく温かい。
男の人の手だと感じて、なぜかドキッとした。どんどん顔も赤くなっていくような気がする。
「どうした?」
うつむいた私に、タマは心配そうに声をかけてくる。
「早く行くよ」
今は妹のデートだと引き締めて、後をつけ始めた。
妹たちはクレープを買って、二人で食べ合いをした後にアヒルボートに乗った。
私達は湖のほとりから、二人を見ていることにした。
「ほら」
タマはクレープを私の前に差し出した。
タマの姿が見えないと思ったら、タマはクレープを買ってきたようだ。
「あ、ありがとう」
「美里が食べているのを見て、食べたいって顔に書いてあったぞ」
「そ、そんなこと」
(おいしそうだなとは思っていたけど…)
「どうだった?」
「何が?」
「デートを尾行してみて」
タマは私の隣に座りながら、聞いた。
「美里の彼は優しい人そうだね」
クレープは自ら買ってきて、アヒルボードは先に乗って、美里の手をもってエスコートしてくれていた。何より、美里はずっと幸せそうな顔をしていた。
(これで尾行も終わりかな)
「尾行終わり!私も恋でもしようかな」
服に着いた砂ぼこりを払いながら、あっけらかんと笑う。
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