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不思議に思いながら返事をすると、タマは立ち上がって私を見下ろした。
「その相手、俺じゃダメ?」
「え?」
一瞬、どういうことか分からなくて、タマを凝視する。
タマは顔を真っ赤にして、こちらを見つめた。
「え?…だって、美里のことが好きだったじゃないの?!小学校、中学校、高校、ずっと妹と一緒にいたじゃない!」
そう言う私に、いつもようにタマは溜息をついた。
「あのさ、それってさ、美羽とも一緒にいたってことにならない?」
「え?」
(そういえば、いつも最終的には私もそばにいたような…。中学からはリビングで妹といたし…)
「ねぇ、美羽」
「は、はい!?」
甘い声とともに、優しくタマの腕に包まれる。
「俺の心臓の音が聞こえる?」
耳をすませると、タマの心臓の鼓動が早いのがわかる。
(本当に、私のことが好き…?)
そう思ったら、顔がどんどん熱くなってきた。タマの心臓の音だけでなく、包まれているガッチリした体も、昔よりも筋肉のついた太い腕も、タマの男の部分を全身で感じて、ドキドキが止まらない。
「美羽、俺はずっとおまえのことが好きだよ」
ぎゅっと強く抱きしめられて頭が混乱する。この状況に困っている自分と、安心して心地よいと思っている自分がせめぎ合う。
頭が混乱している中、優しく頭を撫でられ、何も考えられなくなる。
「今は、俺を男として意識してくれたらいいよ。何年も思ってきたから、返事も待てる」
「な、なんで」
「うん?」
「美里みたいに綺麗で頭もよくないのに、なんで私なの?」
「それは…」
少し顔を離して、私たちは互いに見つめ合う。
「ちょっと!タマ!美羽ちゃんにくっつきすぎ」
横から声が聞こえたと思ったら、思いっきり引き離された。
「玉木、ごめん。美里ちゃん止められなかった」
私を引っ張った美里の隣には、手を合わせて謝る彼氏の姿があった。
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