名前

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三人目は語る。こちらは白いTシャツにジーンズといった大学生のような恰好である。 「物事には必ず表と裏がある。全てが同じ認識、同じものになることは不可能だ。■■のお蔭で、今まで薄々共通認識としては存在していたが、曖昧だったものに名前という定義がついたのだ!名前がつけば使える、使えれば皆が言うようになる、認識として広がれば問題と思うものも出てくるだろう。実際にマスコミや官公庁が連日騒いでいるのがその証拠だ。人が亡くなってからというのが残念なことではあるが。しかし問題として掲げ、ごく一部の問題から、みんなの問題になったのだ。立ち向かうものも出てきた。声をあげ、その行動が他人に勇気を与え抜け出す切欠となったこともある。私がそうだった。要は使いようだ。大切なのは麻痺して思考を止めないことだ。意味を放り出し、ネタにしてしまうことこそ…」 男はそこで言葉を切り、ただ目の前の光景を眺めていた俺と目があった。 「害悪だと私は思う」 強い眼をしていた。
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