0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
それを聴いたロットは笑いをこらえるようにして「了解です」「じゃ、元のクエストだけやりますね」等と嘘をつき、さっさと通信を切ってしまう。
エッジは手持ちの弾丸をボウガンにセットしていく。
「目の前のモンスターを、一体一体片付けていくしかねぇよ。そうすりゃ、ロットみたいな若手は転職で有利に働くし、マッドだってもう一回フリーでやってく時に良い看板になるぜ」
準備を整えながら、班長としての威厳を感じさせながらエッジは続ける。
「少ない休日の中で働いて貯金も堪らなくてもよ、誇れる経験が出来ればそれでいいじゃねぇか」
「流石、バツイチ先輩は言うことが違いますね」
「今バツイチは関係ねぇだろ!」
茶化すように笑ったマッドを小突きながらも、頼もしさを感じさせるエッジだった。それをさらにロットが茶々を追加する。
「で、リーダーはどうするんすか?独立っすか?」
「バカ言え。学が無い俺に会社経営なんてできねぇよ」
背中を向けたまま、返事する。
「娘に喜んでもらえる話が一つ増える……それで十分だ」
「お、やっぱり深いこと言いますね」
「人間、バツイチにもなればこうも深いことが言えるように……」
「さっきから茶化すんじゃねぇよ」
笑いながら二人を小突いたあとに、エッジは表情を引き締める。
最初のコメントを投稿しよう!