1章 リストに載ってないモンスターが出ました

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 2人が出発予定時刻まで話していると、眼鏡をかけた長髪の若手勇者・ロットが大きな荷物を担いでやって来た。 「お疲れ様です。支給品、持ってきましたよ」 「おぉ、お疲れ。大丈夫か?昨日のクエから泊まりってきいたけど」 「あぁ、大丈夫っすよ。昨日の現場のチーフから奢って貰った回復薬、『ゴールドポーション ドライ』2本一気飲みしたら眠気もとれましたよ」 「若さってやつだな。けど、そういうムリを習慣にするなよ?」 「しょうがないっすよ。だって聞きました?別パーティーの話ですけど、魔物の討伐クエスト2件に新規ダンジョンの探索クエスト3件を連続でやってた日があるらしいっすよ。勿論、全部泊まり込みで」 「ッえ、マジで?それ実質何時間”サビ残”してることになんの?」 「……考えたくもないっすよね」  ボキボキと音を鳴らしながらストレッチするロットの顔は多少の疲労感こそあれ、まだまだ元気そうだった。 「にしても、良く寝れるなぁ。ベースキャンプってさ、近くに出る魔物の鳴き声が五月蠅くて俺の場合全然寝られねえんだ」 「最初は思いました。俺も。アイツらとくに最近繁殖期入ってるからうるさいんすよね。ま、でもそこはもう、慣れですね。今じゃすっかり慣れちゃいました」 「従順なのはいいけど、あんまり会社に義理立てばっかしてても、いい事ないぞ」  心配そうにエッジがたしなめると、横からマッドが口を出す。 「で、どうだった?支給品の内容」  すると、眉間に皺を寄せて「いや、見てくださいよ~」と言いながら、ロットは担いできた鞄を地面に下した。 「まず地図が1枚に旧型の遠望鏡が1本、それから安物の『ポーション カロリーゼロ』が3本に携帯食料『カップパスタ』が6個、あとは緊急用の『魔法式ベースキャンプ転送装置』にAED……」  中身を広げ終えると、「これだけです」と腰に手を当てて呻った。 「うそっ。全然少ないじゃん」  マッドが驚きながら中身を確認していると、エッジが不審そうに皺を寄せる。 「えぇ?おかしいぞ。だって俺ギルドマスターに申請出したんだぜ。ポーションは1人あたりに3本は必須で、双眼鏡もズームがイカれてるから新型のと入れ替えてくれって」  エッジが訝しんでいると、マッドが何かに気がついたような声を出す。 「あ。それ、直でマスターに言いました?」 思いついたように問いかける。
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