1章 リストに載ってないモンスターが出ました

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ため息交じりに笑うと、「支給品受け取りリスト」にチェックを付けてゆく。携帯食料については記載されていた数よりも現物が少なかったので、品数の差異を修正し、ベースキャンプ内に設置されている『連絡用書類ポスト』に投函した、 「さて、と。それじゃあ出発するか。おいマッド。今回のモンスター、出現エリアはこの『ヒダアルプス山麓』内の『6番地帯』で固定だったよな?」 「はい。アイツらこのダンジョン内だと、他に捕食対象になるモンスターいないっすから」 「今日は、適正人数より4人マイナスのクエストか。で、相変わらずの支給品だから無茶な短期決戦は仕掛けられない。こりゃ、規定時間オーバーは確定だな」  エッジが頭を欠くと、マッドは首をひねる。 「あ~あ。これで規定時間超えるまで魔物と闘ってたら、残業手当って出るのかな」  感情的な言動が目立つエッジに比べると、最年少のロットはいくらか冷静だ。 「”見なし”じゃないですか?お決まりの」 「勘弁してくれよ。営業部のバカが余計な事言わなきゃ発生しなかったかもしれないコストだろうが」 「経理からは、その辺りうまいこと説明してくんねぇのかな」 「ま、この前開かれてた親睦会で『コストカットに関しては株主総会でも評価を受けた』って得意げに話してたらしいっすからね。止めないんじゃないすか?ウチら討伐部の部長は完全にバカにしてましたけど」 「しっかしよぉ……。こんなしょうもないクエストばっかやってちゃぁ、出世コースにもならねぇよ」  たまらずエッジがぼやくと、ロットが小声で本音を漏らす。 「けど、先輩達は出世したいですか?一番新入りの僕が言うのも生意気ですけど、討伐部長とか見てると、今の方がまだマシなんじゃないかって感じがもするんすけど……」 「それなぁ~。俺も今の立場に不満はあるけど、出世した先に憧れはないんだよなぁ~」 「つっても、役職なり肩書は持っておいた方がいいし、責任の重い立場ってのは経験しとくに越したことはないだろうが。いつまでも討伐部の木端社員じゃしょうがねぇよ」  後輩たちを諭しながらエッジは大型ボウガンにスコープをはめた。 「あれ?そのスコープっていつものと変わってません?新調されたんすか?」 「おぉ。こないだの大型魔物の討伐ん時みたいにてこずりたくなかったからよ」 「……で、それの費用って経費で落ちたんすか?」
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