1章 リストに載ってないモンスターが出ました

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「……で、それの費用って経費で落ちたんすか?」  本来、討伐に必要なアイテムは領収書を切って、申請書と出せば経費で落とすことが可能である。 「な訳ねぇだろ。私物だよ、俺の。」 「やっぱり……」  しかし、法律を完璧に遵守できるのは、ある程度余裕のある企業ばかりだ。 「けどエッジさん、先月は奥さんが『スライム』経由の感染症で『麻痺』の状態以上にかかったままだから手術する――みたいな話がありましたよね?結構出費がかさんでるんじゃないですか」  歩きながら心配そうにエッジを伺うロットを見て、マッドが吹きだして石舞う。 「何でロットが先輩の財布事情心配してんだよ」 「すいません、つい……」 「お前ってそういうトコあるなー。ちょいちょい発言が無神経なんだよ」  マッドがニヤニヤしていると、言われたええ地は「まぁ気にすんなって」と平気そうに言う。 「やっぱ、俺みてぇな砲兵上がりは、このスコープと三脚ねぇとうまく撃てねぇんだ。感触が合わねぇって言うのかなー」 「そうなんすか。その辺解決してくれるようなアイテムでも取れればいいんですけどね。ウチの開発部が」 「――え、何?お前まさか、まだ開発部なんかに期待してんの?」 「だって社長が肝いりで発足させた部署じゃないですか。いくらウチの会社が”漆黒企業”でも、さすがにマシな仕事はするでしょ」 「いや、もう部署の人間もほぼほぼ別に回されてるって聞いたぞ」 「社長のアイデアって、実行に移しても結局こうなるパターンばっかだよな」  ブレイブアドバンスの社長は、かなりのワンマン気質で思い付きが多い。だが彼の思い付きに他の社員が追いついたころには、もう当の社長は飽きてしまっている場合が殆どだ。 「けど開発部って新卒で入った若いのもいたろ?そいつらって他部署に回されてどうすんだ?流石に、そこまで労働環境が違ったらもう止めちまうんじゃねぇのか?」 「それにしても、わざわざ大学――それも開発部に来てた子なんかは『理系』の学部の―――を出て、一体なんでウチを志望したんすかね」  ロットが不思議そうにつぶやくと、横を歩くエッジは首をかしげる。 「それを言うならお前は?お前も結構いい学校でてなかったか?」と言うと、「いや、全然ですよ俺がいたとこなんか」と首を振る。
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