1章 リストに載ってないモンスターが出ました

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 話を聞きながら、魔導士であるロットが苦笑いする。 「あ~。【炎熱】の奴らは景気いいですよね。軍需産業との相性はいいですし。同期連中も、もっぱら稼いでんのは炎熱ですよ。多分、俺みたいな雷電の奴とじゃ平均年収は4,5割増は堅いっすよ」 「そんなに?え、魔法使い同士でそんな開くもんなの」  魔法絡みの知識は薄いエッジが驚いていると、ロットが頷きながら事情を説明していく。 「いや、去年あたりから討伐依頼が急増してる大型モンスター、アイツは火属性が弱点らしいんすよ。それで火属性の需要がギルドで拡大してて。中でも【爆破】とか【燃焼】みたいにクレームが入り辛いタイプの連中は派遣会社に登録さえしとけば、黙ってても高給の仕事が入って来るらしいです」 「ん?クレーム?」 「聴いた。アレだろ?今って『爆発音がうるさい』とか『煙が深い』言ってクレームが入るんだろ?どうかしてるよな」  魔物やモンスターを倒すだけで勇者が村人たちから湛えられていたのも今は昔。勇者の絶対数が増えた上に、各勇者のレベルが上がった今では討伐中の騒音や閃光、振動に対するクレームも右肩上がりに増えている。  戦闘の際には周辺環境にまで、細やかに気を配らなけらばいけないのだ。 「しっかし、天下の『四菱軍事』グループの『四菱空軍』も、主戦力を科学兵器だとか兵士から魔法に切り替えかぁ。俺も学生時代に『武系』じゃなくて、『魔系』の学科を選択しとけばなぁ」  マッドは、剣の刀身に抜刀のスピードを上げるための潤滑油を塗りながら呟いた。 「けど、『武系』学科の同級生は、なんか学校の中でも”リア充”って空気が凄かったすよ?俺は日陰者の集まり的存在の『魔系』だったんで、『武系』の同級生が眩しかったですけどね」 「あ、お前の代の頃もそうだった?いや、ウチラのときもそうだったんだよ。で、俺もその空気に乗って”文・理・武・魔”の4科目選択で武を選んだってわけ」  学生たちが学ぶ内容は、学内で形成されるスクールカーストにも関係する。  しかし、カーストは学校を出ても人々の間でしっかりと構築され続ける。しかも、その回想設定は学生時代とは違った基準が設けられるものだ。 「したらさ、雇ってくれるとこなんて、もうどっこも無いワケ。やっぱ就職に一番強いのは『理系』で次が『魔系』。せめて『文系』ってかんじだったわ」
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