第2章 彼と歌

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 彼はそう言い、リビングに入る。リビングからは私の知らない曲が流れていた。 「この曲は何?」 「ジョンレノンのイマジンだよ。自分みたいに無知でも可能性があるのではないかと思ってしまうんだ。」 彼は目を細めて苦笑する。  私には幸せなものをぎゅっと押し込めた儚い曲に聞こえる。私はもっと他の曲を聞きたいと彼に頼み、帰るまでの4時間、たくさんの曲を聞いた。  今日は久しぶりにいい夢が見れそうだ。私は彼の横顔を見ながら思う。私はきっと甘いのだろう。こんなことでは私を救うことはできない。ましてや彼を巻き込んで。  でもほんの少しだけ。私は自分のわがままを許す。こんな日が長く続けばいいのに。
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