第2章 彼と歌

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「あんたこんなとこにいたんだ?」 私は顔を伏せる。弱者は強者と対等ではない。 「あなた達には関係ないはずでしょ。」 「もしかしてこの人のこと?」  彼女は一枚の写真を取り出す。私と彼が美術館に行ったときのものだ。  私は動揺しつつも頭を整理する。 「何でそれを?」 彼女らは口角を上げて笑う。 「私たち友達じゃん?友達が大人と付き合っていたら止めてあげないとね。」 もう一人もそれに賛同する。 「この人ちょっとかっこよくない?私が盗っちゃおうかな?」 自然に涙が出てくる。悔しくて、悔しくて、本当に情けない。私は感情のまま声に出してみる。 「私は彼が好きだ。だからあなた達には渡さない。」
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