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 彼女の顔も少し寂しそうだった。彼女たちからすれば、記憶喪失どころか性格が変わっているようなものだからな。 「なんか、ごめんなさい……」 「いや、君が謝る必要はないんだが」  すっかりお通夜のような雰囲気になってしまう。それを壊したのは黄色い髪の少女だった。 「サムの魂であることには変わらないんだから、また仲良くなれるよ」  そう言って健気な笑顔を見せる。子供だから状況が分からないのか。だか、幾分か申し訳なさが和らいだ。 「あたい、パッセル。あっちがヒネーテでこっちがマギサ」  パッセルが指を差しながら紹介していく。改めて見ると皆、奇抜な格好をしていた。パッセルはノースリーブにショートパンツと軽装備である。一方、マギサはローブまでかっちり着込んでいた。なんで、こんなに季節感がないんだ。ヒネーテに至っては、腕や脚には鎧をつけているのに、胴体はビキニである。一体、どんな世界なのか。俺は興味が湧き、ベッドから降りてみた。着ている服もスーツから、麻か絹でできた服になっている。目の先にあった大きな窓から朝日が差していた。しかし、これ以外に光源はなさそうだ。俺がさらに歩こうとするとマギサが立ち上がる。     
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