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初めてのキス、それは学校の校舎裏であった。
二歳年上のサッカー部の憧れの先輩。
彼の姿を見かける度に、目で追うようになっていった。
先輩と話したのは、彼が校庭でサッカーをしている時に、たまたま私の所へボールが転がってきて、ボールを返したその時が初めてだった。
その日から、先輩から会うたびに声をかけられるようになっていった。
そして、ある日、先輩から呼び出され、期待と不安をミキサーで混ぜたような状態の中、急いで彼の元へ向かった。
先輩は、校舎裏のベンチに腰を掛けていて、私が座ると、そっと肩を抱きよせ、『今までずっと好きだった付き合ってくれ』と耳元で囁いた。
驚きと同時に、幸せな気持ちでいっぱいになった。
ふと見上げると、先輩が一言、『本当かわいいな』と私の顎を持ち上げた後、唇と唇が折り重なった。その瞬間、金縛りにあったかのように動けなくなり、頭が真っ白になった。漫画で読んだことのある情景が、フラッシュバックのように舞い戻ってきた。先輩も初めてで、緊張していたのか、池の水面に映った彼の身体が、少し震えているかのように見えた。
先輩がさっきまで、飲んでいた空のジュースが、だらしなく、地面に転がり落ちていった。
大好きな先輩との初めてのキス、メロンの香りでいっぱいになった。
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