3人が本棚に入れています
本棚に追加
ああ、このからあげの香ばしいにおいさえ恨めしい。そう感じはじめたとき、ふいに呼びとめられた。
「そこの一年生! 一緒に食べようぜ。ここ空いてるから」
馴れ馴れしい態度で、わたしを手招きしたのは、見知らぬ男子であった。
わたしを一年生と呼ぶからには、おそらく先輩なのだろう。
「は、はあ」
頼りない返事をし、わたしは彼が指さす席へおずおずと腰をおろす。周りの視線が少し怖いけど、このチャンスを逃すわけにはいかない。
「ど、どうも。ありがとうございます」
わたしは小さくお辞儀をしながら、改めて彼を見た。運動系の部活に入っているのだろうか、がっちりとした体格をしている。向かいあって座ると、少し圧倒されそうになった。
「礼はいいよ。早く食べないと、せっかくの昼飯が冷めちまうぜ」
ニッと笑うと、彼は自分のカレーライスを食べはじめた。
彼の言うとおり、温かいうちに食べようと、わたしは自分のからあげを頬張る。
「うまっ」
最初のコメントを投稿しよう!