最初で最後の1on1

5/15
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
 とくんとくんと心臓の音が耳に響く。落ち着けと何度も自分に言い聞かせた。  先攻は私からで、センターラインからゴールを目指し、ドリブルで前に出た。  瞬殺だった。一本めはゴールに近づくことすらできずにボールを奪われ私は負けた。  やばい。たぶんボール捕られるまで五秒も経っていない……。  ドリブルしながら持ち手を変えるフロントチェンジもステップバックも先輩がするものと比べるとレベルが違うのは自覚してたけど、ここまで通じないなんて……。 「次、俺の番ね」  二本目は涼しい表情の先輩がボールを持ってスタート。私はディフェンスするためにかまえたけれど、フェイクに騙されあっという間に抜かれた。レイアップで難なくシュートを決められた。 「羽奏、もっと本気で俺を止めろ」  スタートの位置に戻りながら、ボールを渡された。  その場でドリブルを何度かして意識を集中させる。顔を上げてゴールをみつめた。  だけど次の三本目も、四本目も結果は似たようなもので散々だった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!