凡てのはじまり

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凡てのはじまり

 ある年の日本時間07月27日に僕は女の子として生まれた  両親は「小さいときに自分たちの母国語を覚えて大学生くらいになったら他の人と同じようにイギリスやアメリカに行って英語を勉強すれば一石二鳥じゃね?」と考えたらしくずっと両親の母国でおじいちゃんおばあちゃんおばさんと兄とで幼少期を過ごしてた(両親はどちらとも同じ国生まれ)  両親は自営業の店を日本で営んでいたから毎年1回会えるか会えないかくらい忙しかった  正直にいうと僕は両親の顔を小学生になって日本に戻ってくるまではあまり覚えていなかった  会えない年にはいつも写真付きの手紙が送られてくる  インターネットも進んでいなかったからテレビ通話や携帯電話で顔を見ながら話すこともできない  時々本当に自分は愛されているのかと考える  悲しくなったりもする  そんなときに心の支えになったのが会えない年に写真付きで送られてくる手紙だ  その手紙にはいつも親の愛が詰まっていると考えていた  幼稚園時代は毎年母の日に先生がひとりひとりに赤いカーネーションを1本ずつ配ってお母さんに渡すように言われていた  もちろん僕のお母さんは日本にいるからカーネーションは渡せることができなく  花は毎年牛乳とかの瓶に水を入れて挿していた  いつも色褪せて枯れていくのをいつも眺めていた  そして僕は小学校に入った翌年の4月に日本に渡った
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