こいのかたち

1

　屋上の扉の前にたどり着き、呼吸を整える。扉の向こうから声は聞こえてこない。もしかしてもう手遅れになってしまったのだろうか。しかしここまできて不安になっていても仕方がない。意を決してドアノブに手をかけ、屋上への扉を開いた。
　開いた先には明人が一人で立っていた。周りを見ても木暮ちゃんの姿は見当たらない。
「おう、みき！」
「明人……」
「木暮から聞いたよ。俺になんか言いたいことがあるんだろ？　こんな所にわざわざ呼び出さなくてもいつでも言ってくれればいいのに」
　私は驚いた。木暮ちゃん……まさか最初から私に……。
「もしかしてあれか？　わざわざ呼び出しって言ったら愛の告白か？　だったら嬉しいけど、みきに限ってまさかなあ？」
　明人は私が告白なんてするはずがないと思っているらしく。冗談っぽく言っている。
　でも私はもう決めた。ちゃんと想いを伝えるって。