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木暮さんが転校してきて一か月と少し経ち、十二月の真ん中あたりに差し掛かってきた頃。
「……ねえ、天音ちゃん」
二人で一緒に学校から帰っている途中、木暮さんが真剣な表情で私に話しかけてきた。
「なに?」
「天音ちゃんって北村くんと仲良いよね」
「ん? うん。そうだね」
突然どうしたのだろうと思いながら返す。
「付き合ってるの?」
ああ、いつものか。転校してきたばかりだから私と明人の関係性を知らないんだなと納得した。
「いや、付き合ってないよ。一緒に遊びに行ったこともないし、普通の仲良し」
「そうなんだ。……良かった」
木暮さんは安堵したようだった。
「あのね、天音ちゃん……」
「ん?」
「私、今度のクリスマスにね。北村くんを遊びに誘おうと思うの」
ズキっと胸が痛くなったような気がした。これはなんだろう。一つ言えるのは嫉妬ではない。たしかに私は明人のことが好きだ。もちろん友達としてではなく異性として。でも、だからって明人と仲良く接している人、仲良くしようとしている人を妬ましく思ったりなんかしない。明人だって楽しそうだし、それに私との仲が悪くなるわけでもないのだから。
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